宗教の大切さ・信仰継承の大切さ

今月の『佼成』会長法話のテーマは、「未来を育てる」です。
まず、人知を超えた存在を「拝む世界をもっていないこと」が、人の心に潤いと余裕のない「ガサガサした世の中になった大きな原因(11頁8行)という言葉が、とても胸に突き刺さりました。

心に潤いと余裕がないことが、ガサガサした世の中にしている原因であるならば、私もその一人だと感じないではいられません。時間に追われ、心に余裕がないときは、人の話を優しい気持ちでじっくり聞くことができなくなるのです。結論を急ぐあまり、気持ちが急(せ)いて、ガサガサすることがあるのです。

さらにご法話を読むと、最近の親は、給食費を払っていれば「いただきます」と言わなくてもよいと考えているようですね。これも目に見えないものに対する「拝む心」が薄れ、功利(効率や利益を重視する考え方)や合理性(ムダなく能率的に行うことを重視する考え方)だけを見る私たちの心の現われだと思います。

昔の日本人は、のぼってくる朝日に手を合わせて拝んでいたと言います
それは自分を生かしてくれている大自然の恵みに対する無条件の感謝だと思います。
また、「お天道さまが見ている」と言って、人が見ていようがいまいが、人として正しく生きることを心がけていたと聞きます。最近の日本人は、残念ですが、そうした大切なものを失ってしまったように感じますが、皆さんはどう感じますか?
朝日に手を合わせたたり、「お天道さまが見ている」という生き方は、長い歴史の中で、日本人が育んできたすばらしい心ではないでしょうか。その根底には、神道や仏教や儒教の教えが混然一体となって流れているように思います。

昨今の日本では、宗教は悪いもの、あやしいものという認識が広がっています。こうした時代は、熱心に布教してもなかなか受け入れていただけません。家族ですら信仰を理解してもらうのは大変なことです。
しかし、こうした時代だからこそ、私は宗教が必要だと思うのです。
宗教が教える「人間としての正しい考え方や生き方」が大切だと思うのです。

それは功利や合理的な発想でなく、

①目に見えない大自然の恵みや多くの人のお蔭さまに感謝する心

②自分のことだけでなく他者のことを思いやる心(慈悲・愛の心)

③生かされていること・支えられていることの恩返しとして、世のため人のために奉仕する心

こうしたことを人々に呼び掛けていくことが布教伝道なのです。

信仰継承も同様です。信仰を継承するとは、ご本尊を継承することではありません。教会でのお役を継承することではありません。人間としての正しい心やその生き方を継承することです
それは口で言ってすぐに伝わるものではありません。毎日の言葉使いや行動を通して伝わるものであり、それが未来を育てることにつながっていると信じます。

合掌

2025年2月1日

立正佼成会文京教会
教会長 近藤雅則