ひとり親になって、二年が経ちました。昨年、長男が私立高に進みたいと言ったことがきっかけで、就活を始めました。幸い、家から30分かからない場所の洋服お直し専門店の求人があり、応募してみたところ、書類選考、面接、テストに受かり、今年1月から働き始めました。息子も、無事、第一志望の高校に合格しました。
働き始めると、毎日バタバタで、休みは道場で、体を休める暇がありません。それでも、家事、お役に追われる毎日で目の前のことをすることが精一杯。会社では、縫う仕事以外で、頭では分かっていることが実は出来ていない事に気づきました。例えば、トイレの電気の消し忘れが多いとか、使ったものを元あった場所に戻せないとか、当たり前のことが出来ない自分を知った時は、ショックでした。
主な仕事の内容は、洋服のお直しです。買ったばかりのスラックスの丈詰めはもちろん、太ったり、痩せたりして着られなくなったもののウエスト調整、肩幅調整、ファスナー交換、その他、二枚の服をドッキングさせる相談など様々あります。
受付では、お客様の希望を伺ってそのように直すのですが、希望とその服の特性もあり希望通りにいかないこともあります。同じものは、殆どありません。「一人一人違う」人と同じだなと思いました。
そして、その服の背景も一枚一枚違うのです。思い出を大事に、そしてこれからもその服を着たいというお客様の願いを叶える仕事だと思い、とても素敵なお仕事と誇りを持っています。
しかし、仕事と家事とお役で、もともと整理整頓の不得意な私は、頭の中がごちゃごちゃで、取り込んだ洗濯ものの山がそのままの日も。頭がパニックになりますが、心がけていることは、自分の機嫌は自分で取ることです。八つ当たりだけはしない。それもあってか、子どもたちも率先して手伝ってっくれたり、気遣ってくれたり、長男は中学では見せませんでしたが、勉強を頑張っています。
先日、いつも通り、職場でミシンを踏んでいる時、ふと「私の周りの皆さまが、私を応援してくださっている」と気づきました。家族はもちろん、教会長さん、部長さん、支部長さん、亡くなった父も、姉も、お義父さんもお義兄さんも、沢山のご先祖様が私を応援してくださっていると気づきました。
それまで、私が働くことで周りの皆様に負担がかかり、迷惑をかけているとマイナスな気持ちにとらわれていましたが、そのことに気づいた時、有難くて有難くて涙が出ました。そうだ、私はこれでいいんだって、心からそう思え、今は毎日忙しくても、健康な体で充実した日々を送らせて頂いていることに感謝を忘れ、精進していきたいと思います。
希和子

