取り残された缶詰の気持ち

 ゴミ集積所に8個の缶詰がありました。よく見ると賞味期限切れで、中身が入ったままです。そのため回収されずに取り残されたものでした。「いったい、どこの誰が出したの??」と思いつつも、こういう時に見て見ぬふりできないのが信仰者です。

 教会のOさんが「中身が入ったままの缶詰は回収されませんよ」とメモに書き、缶詰に貼り付けておきました。しかし、状況はいっこうに改善されず、缶詰は放置されたまま。一週間後の回収日も、やはり回収されませんでした。

 「この缶詰は、いつまでここに置かれたままなのかしら?」と、少しムッと感じつつも見るに見かねた私は教会の仲間と協力し、缶を切り、中身を取り出し、きれいに洗い、生ゴミと資源ゴミに分別しました。そうして出したところ、ようやく回収されたのです。何かひと仕事が終わった後のようなスッキリした気分というか、ホットしました。

 真冬の寒空の下、冷水で缶を洗うのは大変でした。心の中では、「ゴミの出し方も知らないの!?」と、少し腹立たしい気持ちもありました。それにしても、「だれにも引き取ってもらえず置き去りにされた時、どんな気持ちでいたのだろう?」そんな缶詰の気持ちも妙に気になりました。

(与謝野晃子)