平和をはぐくむ心

お会式一乗まつりの前日、10月18日の朝のことです。教会に思いがけないご訪問がありました。それは富坂キリスト教会の三村修牧師様です。10月20日にご自身の教会で開催される公開講演会にぜひいらして頂きたいというお誘いでした。

講演者は、生後8ヶ月の時に広島で被曝された近藤絋子さんという方で、平和を伝える講演だそうです。三村牧師さんは二十数年間、佐渡の教会で牧師さんをされ、今年の春に文京区の冨坂教会に赴任されたとのこと。
そう、佐渡といえば日蓮上人ゆかりの地。お会式前日に佐渡からいらした牧師さまに、世界平和の講演会を誘って頂くという何か特別なおはからいを感じました。

当日は、文京教会7名で参加させて頂きました。

近藤絋子さんは80歳とは思えないほど、エネルギッシュな方で、時間も忘れてお話に引き込まれました。10歳の時、アメリカのテレビ番組がきっかけで、原爆投下に関わったエノラ・ゲイのパイロット、ロバート・ルイス氏と出会います。
涙ながらに後悔を語る彼の姿を通して、『お互いに傷つき苦しむ存在』であることに気づきます。涙を流してなんてことをしたんだろうと傷つく彼を見て、その人にも苦しみがあり、自分の中にも悪があると気付いたそうです。わずか10歳なのにそう感じられる深い思惟に驚きました。

憎むべきは戦争そのものだと気づき、絋子さんは今日に至るまで平和活動をしていらっしゃいます。

2020年のロシアによるウクライナ侵攻以来、残念ながら戦争は以前より身近な脅威となってしまいました。自分の非力さを感じ、祈っても何も変えられないという思いになる時もあります。でも大事なのは、周りの人たちと調和していくことからなのだと気づきました。
自分の正しさを主張する時、対立が生まれます。自分から見える視点にばかりとらわれず、相手の立場に立ってみる…
わからなければ聴いてみるという理解する姿勢が大切なのだと思いました。自分の持っている心のカメラを沢山増やして、いろんな方向からの視点を持つことが、今の私にできることなのかもと。

一人一人の意識はバラバラのようで、実は繋がって結び合う一つのいのちと2500年前からお釈迦さまが説いています。平和な心で触れ合い、お互いに調和が生まれ、調和の連鎖が広がっていく

まるで優しさという雫が池に落ちて、波紋となって隅々までひろがるように。原爆の被害を受けた人々の中で生き、平和を訴え続ける近藤さんの言葉には、実践する人の力強さがありました。

お話を聞かせて頂き、一層、平和への思いが深まりました。三村牧師さんのお声かけのおかげさまです。飛び込んで誘いにきてくださった勇気を見習いたいと思いました。
講演が終わり、一緒に写真を皆さんでパチリ。参加した文京教会のメンバーも富坂教会の関係の方や近藤絋子さんと親しげに話しています。その光景は、平和そのものでした。
開祖さまが創立以来抱き続けてきた「宗教者が互いに手を取り合い、世界平和に貢献する」という夢が今も息づいていると感じました。

ふみの京子