昨年の暮れ仕事関係のご縁であるドキュメンタリー映画を観た。忙しさに翻弄され久しく映画も観ていなかったなと思いながら慣れないスマホから個人的に申し込んでみた。
ゴミ山からドレスはつくれるかと書かれたサブタイトル、「燃えるドレスを紡いで」と言うファッションデザイナーの映画だった。衣服がどのように生まれどのように終わっていくのかを考えアフリカケニアに渡る。ケニアに海外から持ち込まれた古着を再び日本へ持ち帰り再生し仲間と共にパリのオートクチュールコレクションに出品する作品を創りあげた。
普段消費者の私は、衣服の最終到達点など深く考えてもいなかった。安価で簡単に手に入る衣類をどれだけ無駄にしてきたのか。消費しきれない古着がケニアの中でごみとして山積みにされていた事を初めて知った。日本でもリサイクルと言われ集められているごみの最終地点はどこなのだろうか、大丈夫なのだろうかとも思った。
ケニアは国としても対応にとても困っているが欧米から持ち込まれた古着は国同士の関係からも止められない状態にある。膨大な量の衣類は腐敗し臭いを放ち不衛生な状態の中、生活している子供達がいた。私は全く想像もしていない世界をみた。主人公は衣服を作り出すデザイナーの立場からこの状況をみて、自分はこの仕事を続けていていいのかと様々な葛藤を抱きながらも廃棄される衣類から一点のドレスを作っていった。
私はこの作品を観て自分の立場ならできる事は何だろうと考えた。衣類を買わない事?それでは経済成長は?といろいろと考えさせられた。日々忙しさに追われ流されて生活するのではなく見に見えないところまでを深く考えてみる事を教えてもらった気がした。自分にできる社会の課題に一歩踏み出し取り組んでいく生き方ができたならと思う。
(畑中菜々江)